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そもそも、何故 人事制度を設計する必要があるのでしょうか?
「従業員を公平に判断し、報酬に結び付けたい」
「何もないから箱モノを整備し、ルールを明確化し、納得する制度を構築したい」
「社長の権限を段階的に下していくために明確な制度が必要」
・・・そうですね。どれも正しいことです。でも、それは最終目標ではないですね。
人事制度を構築し、正しく運用していくことの最大の目的は
『近未来の次世代リーダーを生み出すため!!』
業績向上の為に「人材(財)」は欠かせないものであることはもちろんなのですが、スピード経営時代には、社長の思いに共感し、理解しているビジネスリーダーの存在なくして、更なる事業発展は見込めません。
「次世代リーダーを生み出すための仕組み作り」が「人事制度設計と運用」になります。
何も、難しいことではなく、会社のビジネスモデルと社長の思いと経営計画をミックスさせたものを「人事制度」に盛り込むことに尽きます。
人事制度構築の原理原則は、実は昔から変わっておらず
この3つのSTEPをクリアにしていくことです。
クリアする為の課題として「評価制度」「賃金制度」「等級の基準」「目標管理」などがあります。
まずは、人事制度設計の目的と期待する人材像の明確化、会社のビジネスモデルの方向性、社長の経営ビジョンなど原点に立ち返って考える必要があります。
この肝の部分が明確化したら、人事制度の構築は「70%」は達成したと考えても過言ではありません。
あとは、私たちが持っている「ノウハウの引き出し」から、その企業に一番適したものを提供するだけですので。
では、どんな会社が「人事制度」を設計するのが望ましいのでしょうか?
■何もなく、面接も実施していない状態
■社長がすべてを評価している状態
■従業員に評価の詳細が知らされていない状態
など、様々なケースが想定されますが、「従業員が不満を持っている」と感じているなら、早期に制度化したほうがいいでしょう。
では、従業員数がどのくらいになったら、このような制度を導入するのが望ましいのでしょうか?
それは、社長の手腕にもよりますが、従業員数15〜20人を超えてくると、組織として活動し、社長も従業員一人一人の業務の細部までは、見極めが難しくなるので、そのあたりから設計するのがいいでしょう。
結論としては
1. 人事制度がなく(または、機能していない)、従業員が不満を抱いているのを感じる
2. 企業規模15〜20人以上
3. 次世代のリーダーを生み出したい!と社長が感じている
この3つ全てに該当する会社は、「人事制度設計」するには、いい時期ですね。
また、人事制度を設計したから従業員のモチベーションが急激に上がるわけでもありません。
会社が発展していくためには組織風土の改善が必要不可欠であり、人事制度はその一旦を担う役割でしかなく、人事制度を通じて「強い会社の文化作り」の土台を設計することが重要な役割となります。
それでは、人事制度設計の流れを3つの大項目に沿って説明します。
STEP1は「会社の方向性を部門ミッションを明らかにする」ことです。
つまり「言葉による経営計画の共通認識」を明らかにするという意味になります。
社長の頭の中には「創業の想い」「会社の将来像」「今、やるべきこと」などが詰め込まれていますが、社長の頭の中に描いていることを、従業員に理解して、共通認識を持つことから始めます。
ビジネスとは、「自社の強み・弱み」「拡大する市場の自社のビジネスチャンス」「縮小傾向・競合多数による自社ビジネスの将来の縮小」などの要因を掛け合わせて、経営計画を立てます。
この『肝』の部分を徹底的に話し合い、決定させていくことが重要です。
複雑化したツール等を使用せずに、この「SWOT分析」1枚に仕上げます。
1枚の「SWOT分析」をし、自社の方向性と経営計画を策定します。
必ず、幹部社員や「次世代リーダー候補者」などを交えて、策定することが、共通認識を持つ上で重要になります。
会社の方向性や部門ミッションが明らかにすることで、中期事業計画を立案します。
そうすると、その目標を達成するためには、具体的に何を実施すればよいか?が明確になると思います。
そこで、その目標を達成するための「期待する人材像」を明確にすることが必要となります。
上記のように「職能要件」と「行動要件」に区分して考えるといいでしょう。
簡単に言うと、「新人の域を脱するには、この仕事ができなくてはダメだな」「マネージャーには、この仕事ができなくてはダメだし、仕事に対する行動もこうでないとダメだな」というように各階層別にまとめ上げることが必要になります。
そのことを正確に実施するためには、『階層別職務分析』『職務明細』『行動特性表』などを作る必要があります。
期待人材像が明らかになったら、等級に区分します。
ここでは、初めて人事制度を導入される企業様を例としますので、等級は大まかに3つ程度でいいでしょう。
期待する人材像を各部門別、階層別に明確化したものを等級に落とし込みをすることで、STEP2は終了です。
■会社が人事制度の運営で失敗する最大の要因は、上記を評価する「評価制度=人事考課」にあります。
この章は、「人事制度設計」ですので、割愛しますが(混乱してしまうのを避けるため)ポイントだけ記載させていただきます。もちろん、弊事務所が人事制度設計のサポートをさせていただく場合には、「評価制度」に関しましては、時間をかけてアドバイスさせてもらいます。
「失敗しない人事考課とは」
人事考課は賞与や昇給を決める際の査定として定着していますが、査定という名前のとおり、ほとんどの企業において人事考課は「お金を算定するためのツール」となっています。
そして不公平が判明すると文句がでます。その為には評価する者の視点を統一したい!誰が見ても同じ結果を出したい!という要望は最もなことですが、「考課」という言葉には、「上司と部下で課題を考える」という意味があります。
つまり、1年や半期といった一定期間内における「活動の結果確認と「行動の振り返り」を行うというものであり、人事考課は、評価を通じて互いの課題を明確にし、次期に向けてそれを改善していくという改善活動のプロセスそのものにすることが重要です。
但し、人事考課をきちんと行うためには一定のルールがあり、そこを無視した人事考課は、逆効果を生む可能性もありますので、人事考課は分析的に行動を見ることが重要となります。
人事考課は、上図のように「行動を選択」してから「要素を選択」し、「段階の選択」という3つの要素で構成されるものでなければなりません。
考課結果については、部下の育成に主眼をおき、徹底的に話し合うことが納得感を生み出す唯一の手段となります。
また、評価する上司のレベルアップも欠かせません。
このように「評価」というものは、様々な要素を多面的に分析した結果を、部下とトコトン話し合い、納得感を生み出すことが目的となります。
「会社の方向性を明確にし」「期待する人材像を評価制度を通じて明確にし」次は、その成果(成果への努力の過程も含みます)を報酬に反映させなくてはなりません。
人事制度設計と賃金制度設計は一体化していますので、同時に実施しなくてはなりません。
賃金制度のおもな目的としては
①今後の経営資源を考慮した「総人件費管理」必要
②年功型の構造的問題の解消
③「会社貢献度」に見合う「正直者がバカをみないルール」の設計
という3点に重きを置いて設計する必要があります。
STEP2でご説明した「グレード(等級)」ごとにその賃金の高さを決定する等級範囲給をスタンダードとして決めることになります。
こうして設計された「賃金制度」を「人事制度」と一緒に並行しながら運用していくことになります。
最後に簡単に「人事制度設計」の復習をしてみましょう。
①「会社の方向性と部門ミッションを明らかにする」
②「期待する人材像を評価制度を通じて明らかにする」
③「人事制度に賃金制度を適合させる」
という3つのステップで制度の設計と運用を行います。また、人事制度を機能させるためには、人が人を評価するので納得性のある評価方法を導入していくことも同時に実施することを忘れてはいけません。
特に、初めて制度化する人事制度は、シンプルかつ透明性のあるものにして、運用しつづけていくことが求められます。
弊事務所では、「初めて人事制度を設けたいとお考えの企業様」「どうも従来の制度が上手く機能していない企業様」で、従業員数200名様までのコンサルティングを実施しております。
費用や期間は、企業様の現状を把握させていただいた上で、オーダーメイドで設計させていただきます。
お問い合わせやご質問は下記フォーマットよりお気軽にどうぞ!
東京都渋谷区の大久保史春社会保険労務士事務所です。
経営理念は「経営者様と社員様の双方から感謝される仕事をする!」
「労務管理」「人材育成・活性」を事業ドメインとし、企業経営を「人視点」から多面的支援をさせていただいている提案型の社会保険労務士事務所です。
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