日本IBMの元社員が、十分な説明を受けないまま一部門が分割された新会社に転籍させられたとして、無効確認と慰謝料を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は12日、「会社が従業員と協議を行わなかったり、内容が著しく不十分だったりすれば無効になる」との初判断を示した。
 その上で、同小法廷は「日本IBM側は転籍予定の従業員と事前協議を行っており、(内容も)不十分とはいえない」と指摘、元社員側の上告を棄却した。元社員側敗訴の1、2審判決が確定した。
 会社分割は従業員の転籍が前提だが、この日の最高裁判決は労働者保護の観点を打ち出し、十分な労使協議に基づいた慎重な人事の運用を経営者側に求めたものといえそうだ。
 判決は、転籍予定の従業員に向けた転籍先の概要などの説明が必要とした厚生労働省の指針を踏まえ「協議内容が指針に沿って行われたのかどうかも十分に考慮されるべきだ」とした。
 1審横浜地裁は元社員側の請求を退け、2審東京高裁判決も支持していた。
 判決によると、日立製作所と米IBMは、ハードディスク駆動装置(HDD)事業の統合で合意。これを受け、日本IBMはHDD部門を切り離した「ストレージテクノロジー」(現日立グローバルストレージテクノロジーズ)を設立し、一部社員を転籍させた。

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